容量市場について

電力の自由化に伴う電力価格低下により、火力や原子力などの従来型発電所採算性が悪化している。太陽光や風力などの再エネ導入が進むことで、それらの従来型発電所を単純に代替すればよいかというと話はそう簡単ではない。電力系統は周波数を一定に保つために需給バランスを保つ必要があるが、太陽光や風力は発電量をコントロールすることができないため、需要量とのバランスをとる調整役が必要とされる。その観点では火力や原子力などの非変動性電源は依然重要性を有しており、電力系統全体で一定の容量を備えている必要がある。そんな中、火力や原子力発電所などにも適切な投資が行われるよう、一定の容量(kW)を確保しておくこと自体に報酬を支払い、事業計画の見通しを立てやすくするのが容量市場だ。容量市場では、入札により容量を募って安い順から落札額を決め、電力小売事業者からの拠出額で賄う。こうすることにより発電による電力の卸売価格の他にも収益源が確保され(主に大手の)電力会社が従来型発電所を維持するインセンティヴが与えられるという仕組みだ。

 

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